息子の卒業式を前に思うこと
春の日差しの中 君の手を引いて歩いた
まだ小さくてやわらかい手
桜の花の下 少し緊張した面持ちで
まっすぐ前を向いていたね
あれから12年が過ぎたけれど
君は今も ちゃんと前を向いている
いつのまにかわたしの手を離れて
自分の進むべき道を ただひたすらに見つめている
母親として今日まで わたしはなにができただろうか
人をひとり育てるということが
こんなにもたいへんで こんなにも幸せだということ
君に教えてもらったよ
もうすぐ卒業式
もう詰め襟を着ることはないけれど
これから先の人生も
襟元はきちんと正しつつ 心だけは大きく開いて
あしたからフライトに出る
帰国したら卒業式が待っている
今夜のわたしにできるのは 白いワイシャツにアイロンをかけることだけ
学生服を着るのは、本当に最後なんだね
あんなにも面倒だったアイロンがけが いまはこんなにも愛しい
春からは 自分の選んだ服を着て
自分の選んだ新しい道を どうかまっすぐに歩んでほしい
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