商社ハケンOL時代
大阪時代、スチュワーデスを目指しながら、派遣社員をしていたことがある。
ハケンとはいえ、あこがれの大手商社勤務。
毎日おしゃれをして、OLとして働くのはとても楽しかった。
ブランドビジネス課に配属
わたしが配属されたのは、ファッションブランドを扱う部署。
おもに海外ブランドのライセンス契約を行っていた。
必然的に横文字の会社との取引が多く、なかには奇をてらった会社名もあったから、電話番だったわたしはたいそう苦労した。
わかりにくい社名の場合、「もういちどおっしゃってください」とお願いしたが、なんども聞き返すのは失礼にあたる。
そのため、本当はよくないことだが、見切り発車で取りつぐことが多々あった。
リアル空耳アワー
ある日のこと。
「荒物インターナショナル」と名乗る会社から電話があった。
「荒物」とは、ホウキやチリトリ・ザルや桶などといった、家庭用品のことを指す。
ブランドビジネス課で、そのような商品の取り扱いがあるのか?
疑問に思ったわたしは、失礼を承知で複数回、聞き返した。
しかし電話口の相手は、どう聞いたって「アラモノ」と言っている。
『かっこいいチリトリや、イカした桶を取り扱っているのかもしれない!』
受話器を渡した上司は、電話を切ったあと、耐えられないといった風に吹き出した。
「アラモノインターナショナルじゃなくて、アランドロンインターナショナルやったわ!」
またあるときは電話に出た上司が、
「ハエ取りエージェンシーから電話やよー」
「ハエ取り…エージェンシー…?」
シマに衝撃が走る。
『そんなところと、取引あったか?』『てゆうか、何そのダサい会社名!』
思い出そうと、必死であせるみなさん。
「ハエ取りエージェンシー、ハエとりエージェンシー、ハエトリエージェンシー…」
まるで呪文のように、なんどもなんども繰り返している。
「あっ!」
「ハイアットリージェンシー!」
今でこそホテルの予約も商談のアポイントも、ネットやメールで取る世の中になったが、電話の取りつぎで笑いあった日々も楽しかった。
それにしても、上司の聞き間違いもスゴいレベル(笑)
商社マンの陰となり日向となり
余談だが、商社で働く男性はとてもモテる。
まだ携帯電話が普及していなかった時代。
女性たちは、会社に電話をかけてくる。
なかには都合の悪い女や、面倒な女もいたのだろう。
よく男性社員から、外出中だの会議中だの、不在を装う言い訳をさせられたものだ。
はじめはウソをつくことに罪悪感を覚えたが、数をこなすうちにだんだんと慣れてきた。
「◯◯はただいま、席を外しております」
最終的には、目の前に本人がいるのに、しれっとこのセリフが言えるようになった。
慣れってコワイ(笑)
そして電話取りつぎの技が「いぶし銀」の領域?に達したころ。
航空会社から内定をもらった。
派遣社員のわたしを正社員と同じように扱い、最後は快く送り出してくださった皆さまには、いまでも本当に感謝している。
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