就職は、運と相性・タイミング【CAを目指すみなさんへ】
就職活動中のみなさん。
毎日、お疲れ様です。
ぜったい第一志望の会社に受かるという気持ち。
どこにも決まらなかったらどうしようという不安。
日々、いろんな感情に振り回されていることと思います。
就職活動というのは、思った以上にストレスフルです。
わたしは、外資系エアラインの客室乗務員です。
二十数年前、みなさんと同じように夢と現実の狭間で揺れていました。
大学を出てコンピューター会社に就職したものの、夢が諦めきれず。
半年で会社を辞め、スチュワーデス養成スクールに通いはじめました。
以下は、そのときのエピソードの一つです。
当時はキャビンアテンダントやCAではなく、スチュワーデスと呼ばれていたので、そのままの呼び名で記してあります。
スチュワーデススクールの模擬面接
スチュワーデススクールで、生徒がもっとも緊張する授業だ。
模擬とはいえ、面接官は元スチュワーデスで、選りすぐりの講師陣。
全国から厳しい基準で選ばれた外国人講師も、ペンを構えてまっすぐにこちらを見ている。
面接は入室から退室まで、本番さながらの形式で行われる。
とある日の模擬面接レッスン
お題は、「さいきん観た映画について」
ただ映画についての説明だったり、雑談になってしまってはいけない。
その映画を通して、あなたという人物を知ってもらうのだ。
話をうまく自分の強みに持ち込み、しれっと自己PRにつなげる。
おのずと、映画のセレクションが重要となってくる。
トップバッターは、仲良しのSちゃんだった。
ガチガチに固まった身体から、最初の声が絞り出された。
「……わたくしは、『生きてこそ』という映画を観ました」
「どんな映画ですか?」
「ひ、飛行機が墜落して……い、生き残るために……じじ人肉を食べる話です」
さっそく講師からストップがかかる。
「Sさん。航空会社を受験するうえで、墜落や事故の話はご法度です。飛行機のなかでも、いくら名作であれ、パニック映画は上映しないことになっています。ましてや人肉、などと……」
講師は頭を抱えた。
「それをふまえて、映画を選ぶところからやり直してください」
また別の日
「落ちたことのある会社を再受験することがあります。その際かならず聞かれるのが、前回不採用通知を受け取ってから今日まで、どのような努力をしてきたかということです」
またSちゃんの番。
「わたくしは……お、お仏壇のおばあさまに……御社に合格しますようにと……毎日、欠かさず手を合わせて参りました……」
「ハイ、ストーップ!」
まるで映画監督がダメ出しをするかのように、質疑応答が止められる。
「それは神頼みというものであって、努力ではありません。英語の資格やボランティア経験など、企業に貢献できる何かをアピールするのです」
講師から、ピキピキという音が聞こえてきそうだ。
クラスメイトからは、ひっきりなしにクスクスという笑い声が漏れる。
Sちゃんが羽ばたいた日
そんな練習を繰り返すなか、驚くべきことが起こった。
エアライン志望者なら誰もが憧れる、大人気のアジア系航空会社に、Sちゃんだけが受かったのだ!
まだ、すべてのカリキュラムを終えてもいないのに。
たったひとり、クラスの誰よりも早く、彼女は空への切符を手にした。
会社との相性は存在する
就職の面接は、模範解答ができれば合格する、というわけではない。
応募者から発せられる言葉の響きの良さや、表面的な完璧さだけで判断されることもない。
サービス業に従事しようとする者には特に。
内側から滲み出る人間性や、コミュニケーション能力といったものが試されていると思う。
どんな分野においても。
その業界が求めている人材は、どんな人物なのか。
そこをしっかりと突き詰めていけば、夢に手が届く日が来ると思う。
ちなみにわたしも、Sちゃんと同じ会社を受験したが、書類選考すら通らなかった。
わたしがスチュワーデスになるまでには、ここからまだしばらくの時間がかかる。
英会話講師をしたり、商社で派遣社員として働きながら、コツコツ勉強をつづけた。
人よりずいぶん遠回りをしたけれど、道中で得たものもたくさんある。
そしてわたしは、やっとたどり着いた今の会社が大好きだ。
就職活動中のみなさんへ
あなたを必要とし、あなたを待っている職場が、かならず存在する。
その場所が近いか遠いかは、「運と相性・タイミング」
あなた自身が楽しくて、ほかの誰かを幸せにできる。
そんな仕事が、きっとある。
仕事探しは、宝探し。
とびっきりの宝物を手に入れる日まで。
道なき道を、歩きつづけよう。
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