声優志望の母親が絵本の読み聞かせをした結果、息子がミュージカル役者になった話
押入れの中を片付けていたら。
息子が小さいときに読み聞かせていた、懐かしい絵本たちが出てきた。
どれもキャラクターごとに声色を変えて、臨場感たっぷりに読んで聞かせたなぁ。
あるときはネコやネズミに。
またあるときは、汽車やお月さまになりきって。
子供が寝る前に本を読んでやるという行為は、ふつう寝かしつけのためにあるものだが。
わが家の場合、母であるわたしが「声優志望ガチ勢」だったため、毎晩がソワレ状態❓だった。
思い出深いのは「ねないこだれだ」という、せなけいこさんのベストセラー絵本。
虐待まがいのおどろおどろしさで読んでいたため(ゴメン)息子はお化けに連れて行かれまいと必死だった。
まぶたをギュウっと閉じて「ぼくはもう寝ていますよ」アピールをしていた可愛い表情が忘れられない。
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「アラジン」や「白雪姫」など、ディズニーの名作絵本もたくさん読み聞かせた。
お姫さまは限りなく無垢に、ヒーローは最高にカッコ良く。
そして悪役は、いかにも憎々しく。
結末がわかっているのに、主人公が敵をやっつけるシーンではいつも、身を乗り出すようにして聞いていた。
「もう一回!もう一回!」
くりかえしアンコールをせがまれるので、「ねないこだれだ」を使って姑息に幕引きしたこともある(ゴメン)
わたしの自作の絵本もあった。
いちばん印象に残っているのが「さるかに合戦」のパロディ❓で、蟹のお父さんとお母さんが、子蟹をカニクリームコロッケにして食べるお話だ(やばいね)
そこに猿は出てこない(もはやさるかに合戦ではない🤣)
グリム童話ではよくある話だが、教育上あまりよくないと思い、それは子蟹が見た夢だということにしておいた。
そうして、いっぷう変わった情操教育をおこなってきたためか、成長した息子はミュージカル役者になった。
コロナ禍だが、ご縁があってプロのオーディションにいくつか合格した。
命を削るようにしてお稽古に励んでいたのに、それらの幕は上がらなかった。
PCR検査の陽性者が出て、舞台の中止が言い渡されるたび、いっしょに泣いた。
悔しいけど仕方がない、これは時代だからと。
その後、息子は役者の夢に見切りをつけ、就職活動を開始。
大学で学んだことを活かし、来年から一般企業に就職することになった。
内定が決まってから、英語の勉強でもするのかと思いきや。
残りの学生生活を、ミュージカルに捧げるという。
それでいい。
それでいいのだ。
現在お稽古しているのは、彼のホームグラウンドであるインカレサークル。
学生団体とはいえ、指導陣はすべて現役で活躍されている帝劇や四季の先生方。
そこから舞台俳優も多く輩出されている。
プロになった卒業生たちが教えに来てくれることもよくあるという。
先日、仮小屋入りした。
来週からは、いよいよ本番だ。
6日間、合計10公演。
わたしはそのうち、2公演のチケットを買った。
幕開きから、最後の幕が降りるその瞬間まで。
きみとその仲間が、完走できることを祈っている。
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