息子が舞台【ミュージカル】に興味を持った理由
次回公演を2020年3月に控えた、息子の周辺がふたたび騒がしくなってきた。
昼夜を問わず、大声でうたったり、セリフの練習をしたり。
聞かされているこちらまで、耳が忙しい。
それは突如としてはじまるので、だれか来たのか、電話でしゃべっているのか、錯覚を起こしてしまうほどだ。
去年までサッカーひとすじだった彼が、ここまで変貌するとは。
わたしを含めて、だれも想像しなかった。
つぎの舞台は、いろんな意味でデビュー作とはケタ違いのスケールらしい。
ミュージカル「エリザベート」や「モーツァルト!」に出演されている、現役の俳優さんが総監督をつとめられているそうだ。
前回は、ノルマを達成できるかどうか心配したが、今回のチケットは飛ぶように売れているという。
はやく申し込まないと、家族であるわたしですら、取れない可能性があるというのだ。
まだフライトのスケジュールもわからないが、とりいそぎ、行けそうなところで押さえておくことにした。
最大の影響力【タカラヅカ】
息子が芸能活動に傾倒するなど、想像もしなかったと言った。
が、よくよく考えてみると、その片鱗はあったかもしれない。
5歳のころから「タカラヅカスカイステージ」を視聴(受動喫煙ならぬ、受動視聴)
生の舞台にも、可能なかぎり一緒に連れて行った。
前述の「エリザベート」と「モーツァルト!」は、両方とも複数回、劇場で観ている。
水夏希さん主演、2007年の雪組公演「エリザベート」では、みずから出待ちをしたいと言いだし、楽屋口で根気よく待った。
ルイジ・ルキーニ役の音月桂さんが出てこられたときに、息子は叫んだ。
「ルキーニ!」
小さな男の子の声を聞いた音月さんは、驚いたようすで声の主を探した。
そして息子の姿を認めると、こぼれんばかりの笑顔を向けてくださった。
うす汚れた衣装のルキーニではなく、音月さん本来の神々しいお姿を、わたしはいまも忘れない。
さらに小さかった2005年のこと。
雪組公演「霧のミラノ」と同時上演のショー「ワンダーランド」では、2階席だったにもかかわらず、奇跡が起きた。
小さい男の子は、それだけで目立つのだろう。
当時2番手スターだった水夏希さんが、こちらに向かって大きく投げキッスをしてくださったのだ!
「ヒイィィッ!」
わたしたち周辺の座席から、へんな声が上がるほどすごい破壊力だった。
(投げキスの)流れ玉に当たったご婦人たちから、終演後「ぼうや、ありがとね〜♡」とお礼を言われた思い出がある。
いちばんびっくりしたのは、2008年に上演された月組の「ME AND MY GIRL」
まだ中堅どころであった明日海りおさんが、ジャッキーという娘役をされていたとき。
通路側に座っていたわれわれは、ランベスウォークの客席降りで、みりおさんが真横に来られるというシチュエーションに遭遇したのだ。
かわいらしいピンク色のお衣装に、金色の巻き毛。
透き通るような白い肌と、スラリとしたプロポーションは、見るものを釘づけにした。
美しいの権化みたいな、みりおさんの女装(?)
まぶしくて直視できやしない。
ただ、息子にハイタッチしてくれたことだけは覚えている。
それはもはや、美の暴力でしかなかった。
去りぎわには、茶目っ気たっぷりのウィンクを飛ばして、舞台上へと戻っていった。
あとに残ったのは、まるで光の屑が舞うような、夢のごとき残像だった。
越乃リュウさん演ずる執事のヘザーセットが、お屋敷の扉を閉めるまで、なにが起きたのか理解できないくらいの衝撃を受けた。
こうして考えてみると、息子がミュージカルに興味を持つきっかけは、たくさんあったということだ。
今日も、元気にお稽古に出かけて行った。
いままで自分が与えてもらった感動を、こんどは、他のだれかに与えることができるような、そんな舞台人に成長してほしいと思う。
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