健康診断に行くまでに不健康になりそうな話
冷たい雨が降るなか、某国の空港に向かっている。
今日は、5年ぶりの健康診断。
といっても、現地で行われるものだ。
日本では年に一度だが、ヨーロッパの健診機関でも、5年に一度の受診が義務づけられている。
以前は3年おきだったが、3年でも5年でも、この仕事をしているとあっという間に過ぎてしまう。
毎度、どこのクリニックに行かされるかわからなくてドキドキなのだが、今回は、今まででいちばんナゾな場所に行く。
その街の名は明かせないが、国内有数の医学が結集した大学病院のある学生街だそうだ。
『外国人クルーが、成田空港から本郷三丁目の病院に向かっている感じか』と、勝手に想像する。
それにしても、行ったことのない場所にひとりで行くのは本当に心もとない。
ましてや海外だとなおさらだ。
なじみのクルーバスのドライバーさんが、わたしが迷子にならないようにと、わざわざ空港でバスを降りて、切符を買うのを手伝ってくれた。
「たいせつなクルーが、ぜんぜん違う方向に行っちゃうといけないからね」
「ありがとう!」
さらにはホームまで案内してくれて、無事に列車に乗り込むことができた😭
見知らぬ土地へ、国境さえも越えていく。
窓の外に流れゆく景色が、どんどん牧歌的になっていく。
ドライバーさんの笑顔が、すでに懐かしい。
乗りなれない電車は、居心地がわるい。
さっきの駅で、ほとんどの人が降りていったし、その後なかなか発車しないのも気がかりだ。
わたしは車掌さんに聞く。
「この列車は、本郷三丁目まで行きますか?」(ニュアンス)
動き出した(ホッ)
外資系の航空会社で働いていると、外国慣れしているから、どこへだって簡単に行くことができると思われがちだ。
だがわたしはチキン。
コスモポリタンとはほど遠い、臆病者なのだ。
加えて、路線図や地図のたぐいを見るのが大の苦手。
一駅一駅、まちがっていないかどうか確認する。
気持ちを落ちつかせるために、丸の内線に乗っていると思うことにした(どんだけだよ)
駅についた。
ホームに降り立ち、あたりを見渡す。
それこそ、右も左もわからない。
キョロキョロしていると、病院がある通りの名前が書かれた表示を発見!
しかし、その通りに出たところで、その先がわからない。
これは、ここで道を聞いておいたほうがいいだろう。
近くにいた駅員さんに、地図を見せて尋ねてみる。
すると、表示されている地名とは反対方向の出口から出ろという。
あっちに行って、教会のところで右に曲がって、カフェが見えてきたら…
と、フクザツ怪奇な説明がつづく。
去年健診を受けた同期のK枝ちゃんからは、
「改札を出たら、すぐ右ななめ前にある建物だったと思うよ!」
と聞いていたので、そんなに遠いはずがない。
しまいには、バスのほうが早いから、詳しくは改札で聞いてみてと言われた。
バ…ス…?
ここからさらに、バス?
バスに乗るなんて話は、まったく聞いていない。
駅員さんには申し訳ないが、彼がいなくなったのを確認してから(気ぃ遣いの日本人っぽい?😂)表示どおりの改札へと向かった。
すると、
「なんや、目の前やん!」
ひとりでツッコミながら、胸をなでおろした。
良かった…
予約の時間より、1時間も早く着いてしまった。
待合室には、だぁれもいない。
近くのカフェに行って時間をつぶす勇気もないので、ここで先生を待つことにした。
窓の外はまだ、冷たい雨が降っている。
これから雪に変わるかもしれない。
まだ健診も受けていないのに、もう帰りの心配をしている。
健康診断に来たのに、なんだか不健康になって帰りそうな気分だ。
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