ベルばらフライト
ヨコモジの名前
外資系の航空会社に勤めていて楽しいもののひとつ。
それは、横文字の同僚の名前。
むかし学校で習った、歴史上の人物。
テレビや新聞で見る、外国の有名人。
マンガやアニメの登場人物。
映画やドラマの主人公。
彼らと同じ名前を、実際に口にする日が来るなんて。
子どものころは、思ってもみなかった。
フレミングの法則
新人訓練の教官の名前は、フレミングだった。
教官の名前を呼ぶたび、頭のなかで「電、磁、力」と唱えている自分がいた。
左手が動きそうになる衝動を、必死でおさえていた。
人命救助するアントワネット
エマージェンシートレーニング (緊急保安訓練)を一緒に受けたクルーのひとりが、アントワネットという名前だった。
名札に「Antoinette」と書いてあったが、フランス王妃の名を軽々しく呼ぶなんて、おそれ多いような気がした。
本物のアントワネットは、人からお救いされることはあっても、だれかを助けることはないだろうな、たぶん。
ベルばらキャラが勢ぞろい
あるフライトでは、同じギャレー(台所)で働いたクルーの名前が、マリーとアンドレとアランだった。
まんま、ベルばらやん!(笑)
わたしを除いた全員が、少女まんがの金字塔「ベルサイユのばら」に出てくる人物の名前。
興奮して、さっそくみんなに説明する。
マリーは、フランス王妃マリー・アントワネット。
アンドレは、主人公オスカルの恋人。
アランは、オスカルの部下である。
みんな自分の名前が、日本で人気のマンガのなかで、それぞれどんなキャラクターとして描かれているのか興味津々。
アンドレ「オレはどんなやつなんだ?」
わたし「あなたは、男装の麗人オスカルの幼なじみで従僕」
アラン「オレは?」
わたし「下級貴族。衛兵隊員なんだけど、貧しくて支給された武器を売って暮らしてる」
アラン「はっは!勝ったな!貧乏でも、俺様は貴族で、アンドレは平民だ」
わたし「でもアンドレは最後に、オスカルの恋人になるのよ」
アンドレ「はっは!オレの方がいいな!」
(どんな会話w)
フライトの最後に、SNOWというアプリを使って集合写真を撮った。
わたしは良いあんばいに「盛れて」いたのに対し、もとから彫りが深い彼らは、ベルばらというよりアダムスファミリーみたいになってしまった(ゴメン)
ちなみに、オスカルという名前の人もいる。
だが、だいたいが小太りか固太りのおじさんだ。
池田理代子氏原作/まんが【ベルサイユのばら】
日本人なら、かならず読んでおきたい。
名作中の名作、「ベルサイユのばら」
池田理代子先生によるこの漫画作品は、アニメ化、映画化、舞台化、書籍化、グッズ化…
ありとあらゆる形態でもって、長きにわたって愛されつづけている。
こと宝塚歌劇団においては、昭和の初演大ヒット以来、いくたびも上演され、いまでは「至宝」とも呼ぶべき、代表的な演目となっている。
わたしは、すべてのセリフをそらで言えるくらいのベルマニアだが、見るたびに新たな感動がある。
オスカルとアンドレ
かつての雪組トップスター・朝海ひかるさんが主演をされたとき。
幸運にも、5列目で観劇する機会があった。
その日はたまたま、池田理代子先生がお近くの席でご覧になられていた。
先生の、そして先生の作品の大ファンのわたし。
おそれ多くも握手をお願いしたら、快く受けてくださった。
この手から…この神々しい御手から。
オスカルとアンドレが生まれたのだと思うと、心が震えるくらいに感動した。
と同時に、不思議な気持ちにもなった。
なぜなら、わたしのなかでは、彼らは本当に生きていて、架空の人物だという意識がなかったからだ。
それほど、このふたりの描かれかたにはリアリティがあるのだ。
「ベルサイユのばら」原作のすゝめ
将軍ジャルジェ家に跡取りがなかったため、男として育てられたオスカル。
子どものころからオスカルを見守り、惜しみない愛を注ぐアンドレ。
政略結婚のため、オーストリアからフランスに嫁いだマリー・アントワネット。
王妃アントワネットと禁断の恋におちる、スウェーデンの貴公子フェルゼン伯爵。
フランス革命前夜の、ふたつの愛を軸に描かれる壮大な物語。
「運命」ということばが、これほど似合う世界はほかにないだろう。
いままで読んでみたかったけれど、機会がなかったあなた。
「これから読んでみたい」と興味を持たれたあなた。
ぜひ、通しで読んでみてください。
決して遅くはありません。
わたくしが、命に代えておすすめします。
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