【北風と太陽】に見る人間学〜イソップ童話から学ぶ〜
2018年 飛び初め。
サクマドロップ教✴︎の教祖様でもある、同期のAちゃんと。
仕事とはいえ、仲良しの友達といっしょにフライトするのは楽しい。
わが社の東京便には、基本的に2名の日本人が乗務しており、ビジネスとエコノミーにひとりずつ割り当てられる。
別々のキャビンを担当するため、通常は話すこともままならない。
だが同じ飛行機に信頼のおける仲間がいるだけで、がぜん力が湧いてくる。
フライト前には毎回、ブリーフィングと呼ばれるキャプテン以下全員での打ち合わせが行われる。
成田空港においては、本国から飛んできたクルーと日本人2名とが最初に顔を合わせる、たいせつなミーティングだ。
はじめて会うクルー。
久しぶりに会うクルー。
少し前に飛んだクルー。
「よろしくね!」
「元気だった?」
「また会えて嬉しいよ」
握手とハグが飛び交う、はじまりのセレモニー。
大事なお客様を、目的地まで安全にお届けすることを、連帯感をもって誓い合う瞬間。
その日のパーサーは、国籍を問わずクルーから人気のあるミカエルだった。
彼はいつもと変わらぬ笑顔で、開口一番わたしたち日本人にこう言った。
「Thank you for coming 」
Aちゃんとわたしは驚いた。
いったいどこの会社の上司が、部下に向かって
「来てくれてありがとう」
なんて言うだろうか。
「どうしてそんなことを言うの?」と聞いたら、
「君たちが来てくれないと、飛べないじゃないか」と微笑んだ。
会社員が出社するのは、当たり前のことだ。
でも、その当たり前のことに感謝し、おかげで自分の仕事が成り立っていると、部下に伝えることができる上司はなかなかいないと思う。
Aちゃんが前に勤めていた某アジア系エアラインでは、パーサーはたいてい厳しく、業務に関わる質問に答えられなかったりすると、その場で降ろされてしまうと言っていた。
北風より太陽でありたい
北風と太陽というイソップ寓話をご存知だろうか?
北風と太陽が、道ゆく旅人の上着を脱がせようと勝負するお話だ。
北風は、強く冷たい風で、力まかせに旅人の服を吹き飛ばそうとする。
だが、北風が吹けば吹くほど、旅人は上着を押さえつける。
それに対してただ、さんさんと照りつける太陽。
少々時間はかかるが、汗ばんだ旅人は最後に、自ら上着を脱いでしまう。
あたたかい空気は、人の心を和ませる。
優しい言葉がけ、寛容な態度。
ミカエルは、太陽そのものである。
彼を中心に、周りのメンバーが輝き出す。
職場環境を良くする方法には、いろいろあるだろう。
だが北風より太陽のやり方のほうが、いいに決まっている。
これは職場だけでなく、すべての人間関係に応用できると思われる。
夫婦、親子、兄弟、友達…
わたしも、周りの人たちを温かく照らす存在でありたい。
くれぐれも、あつくるしくない程度に。
✴︎Aちゃんの「サクマドロップ教」についてはこちら 🍬
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