5円を笑う者は5円に泣く【CAスクールでの厳しいレッスン】
みなさんは、CAになるための学校があることをご存知だろうか?
わたしたちの時代には「スチュワーデススクール」と呼ばれていたが、今は「エアラインスクール」という呼び方が主流のようだ。
美しい所作、好ましい受け答え、感じの良い服装やヘアメイク。
CAになるためのノウハウを、徹底的に学べる場所だ。
航空会社に「ご縁」がありますように
わたしは大阪出身。
大阪の大学を卒業してから、京都にある某名門CA養成スクールに通っていた。
そこでの授業は、それはそれは厳しいものだった。
学院長が航空会社とのパイプを持ち、優秀な生徒は推薦してもらえるので、授業の一回一回がまさに真剣勝負だった。
ご縁の5円によるご縁のためのレッスン
思い出深いレッスンに、5円玉をヒザ小僧とヒザ小僧の間に挟んでおくというのがある。
面接官と向き合った際に、ヒザ頭が開いているとお行儀が悪く見えるので、なんとしてもココをくっつけておかなければならない。
膝を揃えていることなんて簡単だと思った、そこのアナタ!(ビシィッッ)
これが長時間つづくと、なかなかツライのだ。
押し寄せるプルプル感に耐えながら、講師の話をにこやかに聞かなければならない。
気を抜いて少しでもヒザが開くと、5円玉は床に落ちる。
落とした者は、どうなるか。
チャリーン…
教室中に響き渡る、5円(ご縁)が遠のく音。
まるで血の気が引くような、冷たく硬質な音。
皆に戦慄が走る。
「そこ!落としましたね!」
間髪入れず、講師から激しく叱責される。
わたしはヒザに挟んだ5円玉を落とすまいと必死で、もはや講義の内容は覚えていない。
だが努力の甲斐あって、ずいぶんと内ももは鍛えられたと思う。
もし外資系エアラインで膝コインチャレンジしたら
おかげさまで、現在の航空会社に5円ならぬご縁をいただけたわたし。
あれから20数年経った今でも、忠実にこの教えを守りつづけている。
しかしヨーロッパのクルーは、たとえお客さまと向かい合わせのシートであろうが。
ヒザを揃えるどころか、足を組んだりしている。
うちのみんなにも、あの授業、いちど受けてもらいたいな。
「チャリーンチャリーンチャリーン」って。
きっと、教室中で外貨が落ちる音がすることだろう。
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