「I’m grand」ってどういう意味?アイルランド人から学んだ英語の奥深さ
英語の学習をしていると。
日常でよく使われる言葉ほど、じつは奥が深く。
ネイティブの使い方とわたしたちのイメージにズレがあることに気づかされます。
先日、職場でアイルランド出身の同僚と交わした何気ない会話から、そんな「言葉のギャップ」について考えるきっかけがありました。
俺ってビッグ?
わたしが働く中学校は、小学校と校舎を共有しています。
職員室も、背の低いキャビネットで仕切られているだけ。
オープンなスペースに、たくさんの先生が自由に行き来しています。
小学校のALTであるアイルランド人のリチャードが、初めてあいさつに来てくれたとき。
「How are you?」と尋ねたわたしに、彼はこう答えました。
―― “I’m grand.”
ぐ、グランド?
リチャードはどちらかと言えば小柄な方で、大男ではありません。
それとも、見ためじゃなくて、中身のことを指してるの?
会ったばかりの人に「俺はビッグ」発言?
…田原俊彦なの?(古い)
「grand」は「壮大」だけじゃない!?
「grand」といえば。
学校で習う意味は「壮大な」「すばらしい」「偉大な」といった、どちらかというと格式ばった印象のある単語です。
それがまさか、「元気だよ」や「大丈夫だよ」というニュアンスで返ってくるとは思わず、思わず「えっ?」と聞き返してしまいました。
リチャード先生によると。
これはアイルランド英語では非常に一般的な表現で、「I’m grand.」は「I’m fine.」や「I’m OK.」と同じような意味として使われているとのこと。
つまり、文字通りの「壮大」ではなく、「まあまあ元気」「大丈夫」といったカジュアルな返事として機能しているのです。
(トシちゃんじゃなかった)
「OK」の本当のテンション、知っていますか?
ここで興味深いのが、「grand」が「OK」と同じような意味を持つという点。
そして、そこからさらに「OK」という言葉の使われ方について考えると、また一つ、日本語と英語の間にあるニュアンスの違いが見えてきます。
日本語では、「OK」はかなりポジティブな感情をともなって使われることがよくあります。
たとえば:
A 「今度、遊びに行こうよ!」
B 「OK!」
このやりとりでは、Bは「やった!行きたい!」という気持ちを表しているつもりでしょう。
しかし英語ネイティブからすると、「OK」という返答は実はそれほどテンションが高いものではなく、「まあ、いいよ」「問題ないよ」程度の、わりとニュートラルな同意に聞こえることがあります。
「うん、別にいいよ」くらいの感じ。
たとえるなら、「おかわりいる?」と聞かれて「OK.」と答えると「じゃあもう一杯もらおうかな」くらいの温度感なんですね。
「fine」って、ほんとに「元気!」って意味?
この話とセットでぜひ触れておきたいのが、「fine」という単語です。
多くの日本人が英語の授業で「I’m fine, thank you. And you?」と習いますよね。
教科書ではこれが「元気です。あなたは?」という意味だとされています。
でも実際の英語圏では、「I’m fine」はそこまで元気そうに聞こえないようです。
どちらかというと、「うーん、まあ悪くはないかな」とか「とくに問題ないよ」といったニュアンス。
体調を心配されたときに「I’m fine.」と答えると、「無理してるけどがんばってるよ」みたいな、少し壁を感じることすらあるそうです。
つまり、「fine」も「OK」と同じく、「テンション高めのYES!」ではなく、「YESとNOの中間」くらいの位置にある言葉なんです。
わたしたちが「OK」をポジティブ度高めな肯定だと思ってしまうのは、かつてタレントのローラさんがテレビで元気に「オッケー!」と言っていたのも影響しているでしょうね。
実際は、日本語でいうと「はい、大丈夫です」に一番近いかな?
めちゃくちゃ良くも、めちゃくちゃ悪くもない、真ん中へんの感情を表すイメージ。
言葉そのものではなく、言いかたが大事なのはいうまでもありませんが、できる限り和製英語から脱却したいですよね。
じゃあどう答えればいいの?英語でテンション高く返事する方法
では、誰かに「遊びに行こう!」と誘われたり、「最近どう?」と聞かれたとき。
本当に元気だったり、楽しみにしていたら、どう答えればいいのでしょうか?
英語圏では、以下のようなフレーズがよく使われます:
・I’d love to!(ぜひ行きたい!)
・That sounds great!(すごく楽しそうだね!)
・I’m really looking forward to it!(すごく楽しみにしてるよ!)
・Can’t wait!(待ちきれない!)
・Count me in!(もちろん行くよ/仲間に入れて)
・Absolutely!(もちろん!)
・Sounds like fun!(面白そう!)
逆に、以下のような返事はテンション低めに受け取られる可能性があります:
・OK.
・I’m fine.
・Alright.
・That’s fine.
日本語で言うところの「うーん、いいよ別に」「どっちでもいいけど」くらいの雰囲気が出てしまうんですね。
まとめ:英語の返事に感情をのせよう
「grand」「OK」「fine」といった言葉は、一見シンプルで簡単そうに見えますが、じつは話し手の感情や文化的背景が強く反映されています。
英語を話すとき、単語を覚えるだけでなく、「その言葉がどんな気持ちで使われているか」を知ることで、ぐっと自然な会話に近づけます。
なので、こんど誰かに「遊ぼうよ!」と英語で誘われたら、「OK」や「I’m fine.」ではなく、思い切ってこう言ってみてください。
「I’d love to!」(ぜひ!)
その一言で、あなたの気持ちと英語力がしっかり伝わるはずです。
そして、どこかで「I’m grand.」という返事を聞いたら。
「なるほど、アイルランド風だな」と、ちょっとニヤリとしてみてくださいね。
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