シアタークリエ『音楽劇 ライムライト』に想う 老いとの向き合い方

シアタークリエ『音楽劇 ライムライト』に想う 老いとの向き合い方

 


50代も半ばに近づき。

これまでにない感情に襲われることがある。

それは、「またの機会」はあるのかということ。

 

40代までは友達と別れる際、「またね」と言って別れた。

さほど先のことは考えず、自然に口からこぼれ出ていた。

 

もう一度行きたい場所、見たいものに関しても同じ。

お金、時間、条件さえ整えば、同じ経験ができると思っていた。

 

でもここ最近、「また」の数が減っていくような気がしている。

「これを逃すと、もう最後かも」

そう思ったとき、どう動くかが、これからの自分の課題だと考えている。

 

チャップリン映画のミュージカル化 舞台『ライムライト』

 


石丸幹二さん主演の『音楽劇 ライムライト』を観劇した。

ヒロインは元宝塚歌劇団 雪組トップ娘役、朝月希和さん。

原作は、チャールズ・チャップリン晩年の傑作映画『ライムライト』である。

 

人生に絶望し自殺を図った若い踊り子テリーと、彼女の命を助ける老道化師カルヴェロ。

年の差こそあれ、不思議なめぐり合わせに導かれ、互いを愛するようになる二人。

でも神様は、二人を結びつけてはくれない。

 

もし、わたしがもっと若かったら。

きっとテリーに感情移入して観ただろう。

人生はいくらだって変えられる。

未来は自分次第だ、って。

 

でも今回、わたしは明らかにカルヴェロサイドだった。

(「いやいや、まだ早い」という声が聞こえてきそうだが)

 

親世代が亡くなり、自分たちの人生にも折り合いをつける時期に差し掛かっていると感じる。

これまで歩んできた人生の伏線を回収するようなことも起きるだろう。

また、新しい出会いに心躍らせるような出来事も。

 

でも、同じことが起きる可能性は極めて低い。

だから人は過去の栄光に縋りついたり、一縷の望みに賭けたりする。

 

カルヴェロがそうだ。

道化師として栄華を極めた時代が忘れられず、昔のままの自分で勝負しようとする。

「老いとはこういうことか」と厳しい現実を突きつけられる作品だ。

 

だが同時に、老いはだれもが通る道であること。

そして生きていれば、老いていく途中でさえも、煌めくような瞬間に満たされることがあると教えてくれた。

 

ときどき胸がチクリと痛むけれど、静かな感動に包まれる作品だった。

 

「また」はもうやって来ないかもしれないから

 


もはや焦燥感ではない。

達観というのとも違う。

ただ振り返ったとき、「あのとき、こうしていれば良かった」と思いたくないだけ。

 

だからわたしは会いたい人に会う。

行きたいところに行って見たいものを見る。

 

この夏は、大阪の大切な家族や友人たちと会う。

冬にはアメリカのホストファミリーに会いに行く予定。

 

年齢を理由に、自分に制限をつけたくない。

あちこち痛くなり始めたお年頃。

体が動かなくなる前に、やりたいことをやっておこう。

 

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