ネットリテラシーの必要性
マスコミの取材を受けた人たちが、事実と異なった報道をされるケースが相次いでいる。
不穏な世情を反映してか、SNSでも情報操作やデマの拡散などが顕在化している。
自粛の影響でインターネットを利用する機会が増えたため、これまで以上にネットリテラシーが問われる世の中になってきた。
情報を発信する側は、受けとる側の人々に、こう受けとめてほしいという意図をもっている。
だから、発信者の主張・主観が強調されて伝わってくる。
だが、それが間違っていることだってあるかもしれない。
それを踏まえていてもなお振り回されてしまうのだから、ものごとを見極める目を磨くしかないのが現状だ。
情報の改竄?といえば、思い出される出来事がある。
あれはまだ、CAになりたてのころ。
会社のPR業務のため、(Jで始まる)人気ファッション誌に出るよう依頼されたときのことだ。
広報部を通した仕事だったので、制服フルセット着用&古き良き?お団子ヘアーでの撮影だった。
企画の名は、『スチュワーデスの前髪特集』
(このころ、客室乗務員はCAではなくスチュワーデスと呼ばれていた)
「なんで前髪…?」
というツッコミをいただくまえに、説明しておこう。
昭和から、平成初期にかけて。
若い女性向けの雑誌には、スチュワーデスに関する記事が毎月のように掲載されていた。
バッグの中身から、愛用の時計やコスメ、休日の過ごしかたなど。
お肌や髪のお手入れ方法も、パーツごとに企画が組まれるほど。
女子の憧れの職業ランキングから徐々に外れつつあったものの、まだまだクローズアップされていた時代だった。
取材当日。
編集部のかたから、持っているヘアケア製品すべてを持参するように言われた。
たかだか1ページ程度だとはいえ、社名を背負った仕事だ。
名前も、年齢も出てしまう。
いい加減なことはできない。
わたしは、ふだん使っているものから秘密兵器まで、一式そろえて現場入りした。
バストアップに全身写真。
そして大量のヘアケア製品たちが、カメラの中に収められた。
後日。
できあがったページを見て、わたしは驚いた。
写真に添えられたキャプションには…
【フライトにはかならず、これを全部スーツケースに入れて行きます】
(注:ニュアンス)
わたし 「 だ れ が や ね ん 😆」
「使っている」とは言ったが、「ぜんぶ海外に持っていく」とは言っていない。
だいいち荷物になるし、髪だけにそこまでこだわってはいられない。
しかしこれを見た読者のなかには「たった数日間のフライトに、こんなにたくさん…?」と驚かれたひとが、少なからずいたはずだ。
『スチュワーデスは美にこだわりがある』という構成にしたかったのか、あるいは読者のヘアケア製品購買意欲をかきたてようとされたのか。
真相はわからない。
この程度ならば笑い話で済むが、そうでないことも多い。
SNSの普及で、だれもが影響力をもつ時代。
マスコミばかりでなく一個人としても、誤解を招くような表現にはじゅうぶん注意しなければならない。
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