ピラティスで肋骨を骨折【全治3ヶ月の怪我】
「ピラティスで骨が折れた?」
ピラティスをやったことがあるかたには、きっと驚かれるだろう。
激しい運動でもなく、無理なポーズがあるわけでもないエクササイズ。
ケガをしにくい体づくりを目指すものなのに、いったいどうして?
性格が大きく作用する?ピラティスのレッスン
ピラティスのレッスン内容とは。
インストラクターから発せられる言葉を自分なりに解釈して、できあがったイメージを動きへとつなげるものだ。
だからまったく同じ指示を受けても、人によって受けとりかたが異なってしかるべきだろう。
個人的には、想像力豊かなひとのほうが、より高い成果を得られると思っている。
「風船のように、おなかをいっぱいに膨らませて」
「パラシュートがまっすぐストーンと落ちていくように」
「一枚の細い板になったようなイメージで」
などは、比較的よく用いられる表現である。
基本的に、鍛えたいボディパーツが「モノ」に例えられることが多い。
「大きなゼリーのなかにいることを想像してください」
「ひじを曲げて、そのゼリーをゆっくり押しつぶすようにして顔のまえへ」
などという、高度なイマジネーションを求める先生もいらっしゃる。
風船、パラシュート、一枚板、ゼリー…
頭のなかでイメージを思い描き、架空のアイテムを使って体を動かす。
実際のシチュエーションを連想しながら動くことによって、狙った部位に働きかける効果がアップするという。
ただなんとなくやるのではなく、ひとつひとつの動作を「意識して」行うのが大切なのだそうだ。
わたしは、これが大得意!
想像力のたくましいわたしは、インストラクターのことばがけのたび、いろんなものに姿を変えている(バーバパパみたいに)
だが今回、その妄想癖の強さが命とりとなってしまった。
フォームローラーで肋骨に負荷をかけすぎたのが骨折の原因
それはフォームローラー(ストレッチポール)と呼ばれる、細長い円柱形をした、硬いクッションを使ったレッスンだった。
いつものようにポールを転がして、きげんよく体の各所をコロコロとほぐしていたわたし。
「横になって、肋骨のあたりにポールをセットしてください」
そこまでは大丈夫だった。
問題はそのあとだ。
「呼吸がいっぱい入るように、肋骨と肋骨の間をしっかりと広げましょう」
「肋骨一本一本の間にある筋肉をほぐして、しなやかな動きができるように」
わたしは、はりきってゴリゴリと肋骨をストレッチポールに押し当て、前後に動いた。
『ひろがれひろがれ〜肋骨と肋骨の間〜』
意識を、ひたすら脇腹のほうに集中していると。
ピキッ
ピキッつ?
もしかして。
もしかして、いま、やってもうた?
いや、激痛ってわけじゃないし、ただの筋肉痛かもしれない。
わたしは、左わき腹にチリチリとした違和感を感じながら、なおも右側のストレッチをつづけた。
レッスン終了後、インストラクターに症状を話してみると、ストレッチポールで骨折する生徒さんもいるとのこと。
だが、痛くてたまらないというほどではなかったので、しばらくうちで様子をみることにした。
肋骨の痛みが悪化
それでも痛みはとれず。
むしろだんだんひどくなってきたため、病院へ行った。
なぜこんなに放っておいたかというと、むかし咳のしすぎで、同じ場所を折ったことがあるからだ。
そのときに比べると、どうってことのない痛みだったし、肋骨骨折にはつける薬がない。
治療方法は、コルセットで患部を固定して、時間が経つのを待つだけ。
しかし、問題はフライトだ。
もしもドクターストップがかかったら、スタンバイを呼ばなければならない。
ギリギリになって呼ぶようなことになれば、相手に迷惑がかかる。
わたしは重い気持ちのまま、整形外科の門をたたいた。
一週間後に整形外科を受信
「ストレッチポールぅ?ストレッチポールでやっちゃったぁ?」
整形外科の医師というのは、おしなべて豪快かつ楽観的(に見える)だ。
先生たちからすると、あばら骨の一本や二本やったところで、足や腰のように大事なホネに比べれば、負傷のうちには入らないのだろう。
こちらが悲壮感漂っていても、なんてことはない感じで返されてしまう。
でも、かえってそれが救いになることが多い。
「そうだね、痛いよね、ツライよね…」
な〜んて優しく寄り添われても、より己の憐れが際立つだろうから。
だって、相手はストレッチポールですよ?
交通事故とかなら、話は別だけど。
楽しいことをしていてケガしたのだから、笑い飛ばされたほうがマシだというもの。
それでも診察室に掲げられたレントゲン写真に、一本のシャープな筋(すじ)を認めたときはショックだった。
あの程度で?
あの程度のことで骨折しちゃうの?
圧迫骨折?
己の体重で圧迫骨折?
わたしは自分を責めた。
ピラティスをはじめて8年になるが、ケガをしたのはこれが初めてだ。
しかし、悔やんだってホネはくっつかない。
それこそ、事故だと思ってやり過ごそうと思う。
その後の経過はこちらです⇩
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