ピラティスで肋骨を骨折
「ピラティスで骨が折れた⁉︎」
ピラティスをやったことがあるかたには、きっと驚かれることだろう。
激しい運動でもなく、無理な動きがあるわけでもないエクササイズ。
ケガをしにくい体づくりを目指すものなのに、どうして?
性格が大きく作用する?ピラティス
ピラティスというのは、インストラクターから発せられる言葉を自分なりに解釈して、できあがったイメージを動きへとつなげるものだ。
だから同じ言葉を聞いても、個人によって受けとりかたが異なってしかるべきだろう。
個人的には、想像力豊かなひとのほうが、より効果を得られると思っている。
「風船のように、おなかをいっぱいに膨らませて」
「パラシュートがストーンと落ちていくように」
「自分が一枚の細い板になったようなイメージで」
などは、よく使われる表現である。
基本的に、鍛えたいパーツがモノに例えられることが多い。
インストラクターによっては、
「大きなゼリーのなかにいると仮定してください。ひじを曲げて、そのゼリーをゆっくり押しつぶすようにして顔のまえへ」
などという、高度なイマジネーションを求められることもある。
風船、パラシュート、板、ゼリー。
頭のなかでイメージを思い描く…
すなわち実際のシチュエーションを連想することによって、体の部位に働きかける効果がアップするという。
ただなんとなく体を動かすのではなく、意識してひとつひとつの動作を行うのが大切なのだそうだ。
わたしは、これが大得意!
想像力(妄想癖?)のたくましいわたしは、インストラクターのことばがけのたび、いろんなものに姿を変えている。
だが今回、それが命とりとなってしまった。
負荷をかけすぎたのが原因
それはストレッチポール、またはフォームローラーと呼ばれる、細長い円柱形をしたストレッチ用の硬いクッションを使ったレッスンだった。
いつものように、きげんよく体の各所をコロコロとほぐしていたわたし。
「横になって、肋骨のあたりにポールをセットしてください」
そこまでは大丈夫だった。
問題はそのあとだ。
「呼吸がいっぱい入るように、肋骨と肋骨の間をしっかり広げましょう」
「肋骨一本一本の間にある筋肉をほぐして、しなやかな動きができるように」
わたしははりきって、ゴリゴリと肋骨をストレッチポールに押し当て、前後に動いた。
『ひろがれ、肋骨と肋骨の間〜』
意識を、ひたすら脇腹に集中する。
ピキッ
ピキッつ?
もしかして。
もしかして、いま、やってもうた?
いや、激痛ってわけじゃないし、ただの筋肉痛かもしれない。
わたしは片方に違和感を感じながら、反対側のストレッチをつづけた。
レッスン終了後、インストラクターに症状を話してみると、ストレッチポールで骨折するひともいるとのこと。
だが痛くてたまらないというほどではなかったので、一週間様子をみることにした。
整形外科を受診
それでも痛みはとれなくて、むしろだんだんひどくなってきたため病院へ行った。
なぜこんなに放っておいたかというと、昔同じ場所を折ったことがあるからだ。
そのときに比べると、どうってことのない痛みだったし、肋骨骨折に関してはつける薬がない。
治療法は、固定して時間が経つのを待つだけ。
しかし問題はフライトだ。
もしドクターストップがかかったら、スタンバイを呼ばなければならない。
ギリギリになって呼ぶようなことになれば、相手に迷惑がかかる。
わたしは重い気持ちのまま、整形外科を訪ねた。
「ストレッチポールぅ?ストレッチポールでやっちゃった?」
整形外科の先生というのは、おしなべて豪快かつ楽観的(に見える)だ。
先生たちからすると、あばら骨の一本や二本やったところで、足や腰のように大事なホネに比べれば、負傷のうちには入らないのだろう。
こちらが悲壮感漂っていても、なんてことはない感じで返されてしまう。
でも、かえってそれが救いになることが多い。
そうだね、痛いよね、ツライよね…
なんて優しく寄り添われても、より憐れが際立つだろうから。
だって、ストレッチポールですよ?
交通事故とかなら話は別だけど、楽しいことをしていてケガをしたのだから、笑い飛ばされたほうがマシだというもの。
それでも診察室に掲げられたレントゲン写真に、一本のシャープな筋を認めたときはショックだった。
あの程度で?
あの程度のことで骨折しちゃうの?
圧迫骨折?
自分の体重で圧迫骨折?
わたしは自分を責めた。
ピラティスをはじめて8年になるが、ケガをしたのはこれが初めてだ。
しかし、悔やんだってホネはくっつかない。
それこそ、事故だと思ってやり過ごそうと思う。
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