わが家の愛犬シエル。
ロングコートチワワ。
色はブラッククリーム。
7歳の女の子である。
生まれてこのかた、病気という病気にかかったことがない。
ケガというケガもしたことがない。
チワワのくせに健脚で、毎日散歩に行きたがる。
病院とはほぼ無縁の、健康的な犬生を送ってきた。
そんな彼女のおなかのあたりに、ちょっと前から湿疹のようなものができはじめた。
放っておくと治るのだが、また違った場所にできてくる。
時間が経つとカサブタになって、ブラッシングするときに毛と一緒に取れる。
しばらく様子を見ていたけれど、なんだか同じことが続きそう。
そんな中、年に一度の健康診断があった。
ちょうどいい機会なので、獣医さんに診てもらうことにした。
シエルのかかりつけの動物病院は、うちから離れたところにある。
シエルがいたペットショップが、その病院と提携していたためだ。
電車で行くと遠くて不便。
でもわたしは車が運転できない。
なので、いつも夫が連れて行っていた。
シエルは、カリカリのペットフード(シュプレモ)しか食べていない。
夫の方針で、ごくたまに果物やヨーグルトを与えるにとどめている。
ほかの犬みたく、ささみの茹でたやつとか、野菜の煮たやつなんかも食べたいだろうに。
ペットフードがいちばん栄養バランスに優れているし、歯にもいいからという理由で、家長はシエルに人間の食べ物を与えることを許さなかった。
でもおやつだけは別で、ジャーキーは毎日のように食べているし、誕生日など記念日には犬用のケーキでお祝いをする。
その甲斐あってか、シエルの身体はどこも悪くなかった。
かかりつけ医から夫がもらってきたのは、セファレキシンという抗生物質だった。
いつも同じごはんばかりのシエル。
お薬を食事に混ぜると、それから先に食べるという不思議な光景が見られた。
喜んで薬を食べている姿に、こちらの心のほうが苦くなった。
10日分処方されていたが、数日経つと良くなったので飲ませるのをやめた。
だが、しばらくするとまた新しい湿疹ができてきた。
余ったお薬があるけれど、できるたびに飲ませるわけにもいかない。
「自然に消えるのを待つしかないか」と話していた矢先。
シエルが激しく身体をなめている。
もしかしてとひっくり返してみたら、下腹部が真っ赤になっていた。
それまでは、わきの下やおなかの真ん中にあったため、自分じゃ届かなかったのだろう。
今回は患部に届いたので、ひたすらなめて痒みをおさえようとしていたのだ。
でも、さわればさわるほど、傷は悪くなる一方だ。
人のことばをよく理解する犬だが、こればっかりは聞いてくれそうもない。
夜も遅いので、とりあえず家にある薬を飲ませて、翌朝病院へ行くことにした。
しつこいようだが、わたしは運転ができない。
平日だったので、夫が連れて行くこともできない。
さいわい近くに動物病院ができたそうなので、徒歩で行けるそちらにお世話になることにした。
新しい病院なので、口コミや評判も聞いたことがない。
ドキドキしながら診察を待った。
シエルは、もっとドキドキしていたに違いない。
「シエルちゃん、どうぞ」
名前を呼ばれて診察室に入ると、看護士さんが迎えてくれた。
病状からふだんの生活ぶりまで、ていねいに問診をとってくれる。
カチャカチャとパソコンに情報を打ち込んだあと、先生と交代された。
先生はとても優しく、患者(患犬)とも飼主とも、しっかり向き合ってくれる方だった。
シエルに言い渡された病名は、「膿皮症」だった。
細菌感染による皮膚炎で、イヌにはよくある症状だそうだ。
抗生物質を正しく飲めば治ると聞いて、少しホッとした。
最初の病院で出された薬を、飲みきらなかったのが良くなかったみたい。
こんどは2週間、朝夕きっちり服用させた。
おかげさまで、すっかり完治することができた。
我が子のように大事なシエル。
わたしも夫も、胸をなでおろした。
目下の悩みは…
色が違う粒(薬)が入っていないごはんを、シエルがうらめしそうに見つめることだけだ。
シエルのごはん、シュプレモ ⬇︎(2種類をミックスしています)
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