吸引力の変わらないただ一人のCA
知らない人から、よく声をかけられる。
世界中どこにいても、世界中の人から、声をかけられる。
わたしが急いでいようが、いまいが。
人は容赦なくわたしをつかまえて、なにかを尋ねようとする。
先日のこと。
急ぎの用があり、爆走していたところを呼びとめられ、道を聞かれそうになった。
「すみません、急いでいるので」
と立ち去ろうとしたら、チッと舌打ちされた。
え?いま、「チッ」て言った?チッて?🙀
ほかにも人、いっぱいいてるし!
歩いてる人、いっぱいいてるし!
引き寄せの法則?
とある一日を例にとってみよう。
① 銀座駅に降り立つ ⇨ 秒でつかまる
白人男性「ギンザストリートはどこですか?」
わたし「とりあえず、地上に出てください」←ざっくり
② ユニクロ銀座店に入る ⇨ 中国人のおばさんから、中国語でまくしたてられる
わたしを店員だと思いこんで、ほかのサイズだか色だかを持ってこいと言っている(ようだ。多分。知らんけど)
わたしもまた客であることをわからせようと、持っているカバンを見せつけるが、効果ナッシング。
しかたなく、自力で店員さんを探して「こちらのお客さま、あとお願いします」
言ったあとに自分でつっこむ。
(「あと」て何やねん)
わたしはもともと、ここの従業員ではないし、あとも先もない。
お店シリーズは国内だけでなく海外でも頻発する。
いつぞやは、乗務の前に時間があったので、某空港ターミナルにあるH&Mを見ていた。
レジの前に立っている外国人のおじさんが、わたしをしきりに手招きしている。
なんだろうと思って目をやると、レジと自分の持っているカゴを交互に指差している。
(ねえちゃんサボってないで、はよレジ打ちなはれ)
おっちゃんの責めるような眼差しをはねつけるように、わたしは制カバンを見せつける。
エアラインの制服を着ていることを確認すると、おっちゃんはゴメンゴメンとバツが悪そうに別の店員を呼んだ。
別の店員…てか、もともとわたしはここの従業員ではない。
市井の人々だけでなく、働く人たちからも、なんだかんだと勘違いされる。
あるときなど、某ホテルから出る成田行きのバスを待っていたら
「ほら、ボーっと立ってないで、早くお客さんからチケットもらって!」と、運転手から叱られた。
あきらかに、ホテルのドアマンかベルボーイと間違えられている。
すかさずスーツケースを見せつけて、バスの乗客であることをアピール。
運転手は、そそくさと本物のドアマンのほうへと行ってしまった。
(あやまらんかワレw)
エアラインの制服を着ているのにこれだから。
わたしは、どこにでも馴染んでしまう外観をしているのだろう。
病院にお見舞いに行けば、知らない患者さんから看護師さんだと間違えられるし。
チャウ、て言うてんのに。
何度も何度も、呼びとめられる😭
どうもその場その場の雰囲気に、とけこんでしまうみたい。
ま、いろんな職業を体験できていっか…(?)
わたしが複数人といても、状況は変わらない。
ある日、息子の保護者会前に、ママ友たちと駅で待ち合わせをしていたら、サラジェシカパーカー(ふうの人)が、こちらに向かって歩いてきた。
ああきたな。
と思っていたら、案の定。
「びきさんの前だ〜!」(ねるとん紅鯨団ふうに)
「科学技術館ハ ドコデスカ?」
道を知っている風情に見えるのかもしれないが、実際は超絶方向音痴のわたし。
そばにいたママ友に、ナビを使って助けてもらう。
うちの近くにいたって同じことだ。
「◯◯眼科はどこですか」
「イオンへはどうやって行けばいいですか」
「マルエツへの道を教えてください」
すぐに答えられる質問なら良いのだが、なかには聞いたこともない場所を訊かれることも。
ある日、犬の散歩をしていると、通りすがりのおばあさんからメモを見せられ、この美容室に行きたいと言われた。
しばらく考えてみたが、どうしても思いつかず、ごめんなさいと言って別れた。
その後、犬とフラフラしていたら、さっき見た美容室の名前がかかれた看板が!
(ここだったのか!)
わたしは思わずお店のドアを開け、事情を説明した。すると、
「いらしてます!ちゃんといらしてますよ!」
と美容師さん。
視線の先には、さきほど道に迷っていた老婦人が、ちょこんと椅子に座っていた。
お店の人から丁重にお礼を言われ、お店をあとにする。
するとまた知らないおばさんから(連続技が多い)
「ねぇあなた、どこのトリミング行ってる?」
唐突すぎてビックリしたが、とりあえず行きつけのサロンの名前を言う。
聞けば、最寄りのペットショップが閉店したため、つぎからどこに行けばいいか悩んでいたそうだ。
エレベーターで初めて会った人から、着ていたダウンコートのブランドを尋ねられたこともある(ちなみにANAYIのもの)
ご近所シリーズもすごいが、世界シリーズはもっとすごい。
二年前、休暇をパリで過ごしたときのこと。
いっしょに行ったU子ちゃんは、わたしの捕獲(され)率に驚いていた。
バトームッシュに乗ろうと、船着場で待っていたとき。
韓国人とおぼしきカップルから
「つぎの船は、何時に出ますか?」
…わたしは船頭ではない。
凱旋門周辺にいたとき。
イタリア人が近づいてきて、大きい地図を広げ
「アローラ、わたしたちは今どこにいますか?」
…わたしはおまわりさんではない。
水上バスに乗っていたとき。
アルジェリアから来たというOLさんからとつぜん
「一緒に写真を撮りましょう」
…国際交流❓😄
凱旋門のなかで出会ったルーマニアの老夫婦からは…
…ああもう、いろいろありすぎて忘れてしまった!
なにしろ毎日毎日、あの手この手で世界中の人が寄ってくるので、U子ちゃんはとうとう吹き出すようになってしまった。
「また来たで!🤣」
これまでで一番おもしろかったのが、コペンハーゲン空港での出来事。
デンマーク人とおぼしき親子から
「クリスチャンハウンへ行くには、どの電車に乗ればいいですか?」
と訊かれたのだ!
これは、新大阪を歩いているデンマーク人に
「なんば行きの電車はどれですか?」
と訊いているようなものだ。
自国の人が、ほかにもわんさか歩いているのに、わざわざ外国人を選ぶこともないだろう。
いったい、いつからこういう体質?になってしまったのか。
自分でもよくわからないが、おそらくこの仕事をはじめてからだと思う。
しかし、妙齢の男性から
「お茶でもいかがですか?」
と声をかけられることは、ない。
人気ブログランキングに参加しています。
応援クリックをいただけると励みになります。